5. 経営指標としてのEPA KPI設定

EPA活用を「事務作業」から「経営戦略」に引き上げるためには、数値による可視化が不可欠です。追うべき指標を3つの視点で整理します。

測定すべき3つの重要指標

① 財務指標(儲かっているか?)

  • 削減関税額(絶対額): 「EPAでいくらコストを浮かせたか」の総額。
  • EPA ROI(投資対効果): 削減額 ÷ 管理コスト(人件費・手数料)。目標は5倍以上。 100万円のコストで500万円以上浮かせるのが理想です。
  • EPA活用率: 「本来EPAが使えるはずの全案件」のうち、実際に使った割合。目標80%以上。

② 業務効率・品質指標(ミスなく早いか?)

  • 取得リードタイム: 申請から取得までの日数。目標3営業日以内。 船積みに間に合わないリスクを減らします。
  • 原産地判定の正確性: (総件数 - 否認・修正件数) ÷ 総件数。目標98%以上。 #### ③ リスク指標(守りは万全か?)
  • 事後検認対応率: 税関からの問い合わせに期限内に100%回答できているか。
  • 原産地証明書 否認率: 提出した証明書が却下される割合。目標0.5%未満。

ダッシュボード設計例

経営層と現場では、見るべき情報が異なります。それぞれの視点に合わせた「見える化」を行いましょう。

【経営層向け】月次ダッシュボード

全体の進捗と「お金」の動きにフォーカスします。

EPA経営ダッシュボード(2026年10月)

  • 当月削減額: ¥8,500,000(前月比 +12% 📈)
  • 年間累計額: ¥82,000,000(予算達成率 102% ✅)
  • EPA活用率: 78% [████████░░] (目標まであと2%)

⚠️ 経営アラート

  • 購買部門:仕入先の原産地証明が15件期限切れ(更新が必要です)
  • 営業部門:EPA未適用の顧客が20社残っています(提案の余地あり)

【実務担当者向け】タスクボード

「今日何をすべきか」の優先順位を明確にします。

EPA実務タスク管理

  • 🚨 緊急(3日以内):
    • 証明書申請:残り5件
    • サプライヤーへの回答催促:3件
  • 📅 重要(1週間以内):
    • 新製品(8件)の原産地判定
    • 有効期限が切れる書類の更新:12件
  • 📝 通常(1ヶ月以内):
    • 内部監査の準備
    • 実務マニュアルのブラッシュアップ

まとめ:KPIを設定する最大のメリット

KPIを追いかけることで、EPA活用が「担当者任せの属人的な作業」から、「組織全体で取り組むコスト削減プロジェクト」へと進化します。

まずは「今月の削減額」を算出することから始めてみましょう。