海外の輸出者と契約を結び、インコタームズ(費用・リスク負担の境界)を決定した瞬間から、実務のバトンリレーが始まります。商品が手元に届くまでの具体的な流れを5つのステップで解説します。
1. 輸送の予約(ブッキング)と輸出準備
まずは商品を運ぶ「枠」を確保します。ここはインコタームズによって主導権が変わる重要な局面です。
- 輸出準備: 輸出者が商品の検品と、国際輸送に耐えうる梱包を完了させます。
- フォワーダーへの依頼:
- FOB(船上渡し)の場合: 輸入者(あなた)が日本側で契約しているフォワーダーにブッキングを依頼します。
- CIF(運賃・保険料込み)の場合: 輸出者が現地のフォワーダーを通じて手配を行います。
- プロの視点: フォワーダーは単なる運送業者ではなく、最適な輸送ルートを提案する「貿易のコーディネーター」です。

2. 輸出地での手続きと出港
貨物が輸出者の手を離れ、海や空へと旅立つフェーズです。
- ドレージ(陸上輸送): 輸出者の倉庫から、現地の港や空港(保税地域)へ貨物を運びます。
- 輸出通関: 現地の税関に対して輸出申告を行い、許可を得ます。
- 積み込みとB/L発行: 貨物が船や飛行機に積み込まれると、貨物の引換券であり所有権を表すB/L(船荷証券)やAWB(航空貨物運送状)が発行されます。

3. 国際輸送と到着通知(A/N)
貨物が移動している間、輸入者は「書類」を受け取り、到着に備えます。
- 書類の管理: インボイス、パッキングリスト、B/Lなどの「3種の神器」を輸出者から受領します。
- アライバル・ノーティス(A/N): 貨物が日本の港に到着する数日前、フォワーダーから「到着案内(A/N)」と「諸費用の請求書」が届きます。
- 注意点: A/Nが届いたら、すぐに納税資金の準備と国内配送の手配を始めるのが、滞留費用(デマレージ)を避けるコツです。

4. 日本での輸入通関と納税
ここが輸入実務の「本番」です。貨物を「外国貨物」から「国内貨物」へと切り替えます。
- 輸入申告: フォワーダー(通関士)がNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)を使用して、税関へ申告を行います。
- 納税(関税・消費税): 算出された税金を納付します。輸入消費税は「前払い」となるため、キャッシュフローの管理が重要です。
- 輸入許可: 税関の審査(必要に応じて現物検査)を経て許可が下りると、貨物を自由に国内で動かせるようになります。

5. 国内配送と納品
バトンリレーのアンカーです。最終目的地まで安全に届けます。
- 貨物の引き取り: 輸入許可後、フォワーダーが港の保税地域から貨物を搬出します。
- 最終配送: トラック(ドレージや混載便)で、指定した倉庫やオフィスへ納品されます。
- 完了: 貨物の状態を確認し、バトンリレーは無事ゴールとなります。
