自社で船や飛行機を持っている荷主(輸入者)はほとんどいません。そこで、船会社や航空会社のスペースを買い取り、荷主へ切り売りしながら物流全体を管理してくれるのがフォワーダーです。
1. 経営者のための選定基準:安さだけで選ぶと高くつく
運賃の見積もり(クオート)が安いことは魅力的ですが、それだけで決めるのは危険です。以下の3つの視点で評価しましょう。
- 得意な「航路」と「品目」:「中国からの輸入は強いが、欧州は苦手」「雑貨は得意だが、食品(他法令)は不慣れ」など、業者によってカラーが異なります。自社の主力商品とルートに強い業者を選べば、トラブル回避能力が格段に上がります。
- 提案力と情報提供:「今、上海港が混んでいるので航空便に切り替えませんか?」「この商品ならこのEPAが使えますよ」といったプラスアルファのアドバイスがあるかどうかが、経営の安定に寄与します。
- 通関士の質:フォワーダー内(または提携先)の通関士が、自社商品のHSコードを正しく理解し、税関に説明できる実力があるか。ここは「事後調査」での否認リスクに直結します。

2. 実務担当者向け:見積書(Quotation)の読み解き方
フォワーダーから届く見積書には、見慣れない項目が並びます。主要なものを整理しましょう。
- Ocean Freight / Air Freight: 純粋な海上・航空運賃。
- BAF / FAF: 燃料割増し料金。燃油価格の変動調整分。
- YAS / CAF: 為替割増し料金。為替変動の調整分。
- THC (Terminal Handling Charge): コンテナターミナルでの荷役費用。
- Customs Clearance Fee: 通関手数料。日本の規定で1件あたり最高11,800円と決まっています。
- Drayage(ドレージ): コンテナを港から自社倉庫まで運ぶトラック代。

【実務のコツ】
見積もりを比較する際は、総額(Total Cost)だけでなく、「有効期限(Validity)」を確認してください。国際運賃は1ヶ月単位(早い時は2週間)で変動するため、期限切れの見積もりは無効になります。
3. フォワーダーとの「上手な付き合い方」3か条
良いサービスを引き出すためには、輸入者側の協力も不可欠です。
① 「早め・正確」な情報共有
船積み書類(Invoice等)が届く前に、「いつ、何が、どこから来るか」の概略を伝えておきます。特に他法令が絡む商品は、事前に相談しておくことで、港での足止めを防げます。
② 現場の担当者を「味方」につける
フォワーダーの担当者は、同時に何十社もの荷主を抱えています。「このお客さんの荷物は急ぎだから優先しよう」と思ってもらえるよう、丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。

③ EPA活用の意思を明確に伝える
「今回の輸入はRCEPを使います」と事前に宣言してください。フォワーダー側で「積送基準の証明(Non-Manipulation Certificate)」が必要かどうかの判断や、税関申告時のコード入力準備ができるようになります。
4. 経営判断:大手 vs 中堅、どちらが良い?
| 比較項目 | 大手フォワーダー | 中堅・専門フォワーダー |
| メリット | 世界中に支店があり、ITシステムも充実。大量輸送で運賃が安い。 | 特定の国や品目に異常に詳しい。担当者の顔が見え、融通が利きやすい。 |
| デメリット | 零細荷主は後回しにされることも。マニュアル対応になりがち。 | ネットワークが限定的。トラブル時の代替案が少ない場合がある。 |
結論:
自社の物量が非常に多いなら大手、きめ細やかな対応や専門知識が必要なら中堅・専門業者を選ぶのがセオリーです。
まとめ:フォワーダーは「外注先」ではなく「パートナー」
物流が止まればビジネスは止まります。信頼できるフォワーダーを見つけ、良好な関係を築くことは、立派なリスクマネジメントです。