救済規定の使いこなし術:「あと一歩」をクリアするEPA活用テクニック

救済規定とは何か?

PSR(品目別原産地規則)の判定で、「あと少しで基準をクリアできない…」 という経験はありませんか?

実は、EPA協定には、このような「惜しい」ケースを救済するための特別ルールが用意されています。それが:

  1. デミニミス規定(僅少の非原産材料)
  2. 累積規定(Accumulation)

これらを戦略的に活用することで、原産品と認められる製品の範囲が大きく広がります。

救済規定活用のチェックリスト

デミニミス活用時

  •  PSR判定で「惜しい」材料を特定した
  •  その材料のHSコードを確認した(CTC不成立か?)
  •  価額(または重量)を正確に把握した
  •  デミニミス比率を計算した(10%以下か?)
  •  該当EPAでデ・ミニミスが適用可能か確認した
  •  除外品目に該当しないか確認した
  •  計算根拠資料を整備した

累積活用時

  •  使用する全材料の調達国を把握した
  •  適用可能なEPAを確認した(累積規定があるか?)
  •  他の締約国の材料について原産品申告書を取得した
  •  サプライヤーとの連携体制を構築した
  •  累積を反映したPSR判定を実施した
  •  トレーサビリティ記録を整備した
  •  複数EPA間で最も有利なものを選択した

実務での失敗例と対策

失敗例1:デミニミスを知らずに諦めた

ケース: 「1つの部品がCTH不成立だから、EPA使えない」と思い込み、何もしなかった。

対策: PSR判定で「惜しい」ケースは、必ずデ・ミニミスを検討する習慣をつける。

失敗例2:11%で諦めた

ケース: デ・ミニミス比率が11%で、「10%を超えたから無理」と諦めた。

対策:

  • 材料の調達先変更で比率を下げる
  • 製品設計の見直しで比率を調整
  • VA基準への切り替え検討
  • 累積規定の活用検討

実務経験から: わずか1%の差を埋める工夫で、年間数百万円のコスト削減につながることも。

失敗例3:累積できる材料を「非原産」扱い

ケース: ASEAN域内から調達した材料を、原産品申告書なしで「非原産」として処理。累積のメリットを逃した。

対策:

  • 定期的にサプライヤーから原産品申告書を取得
  • 累積可能なEPAを把握
  • サプライヤーにEPA活用の重要性を説明

失敗例4:EPA選択ミス

ケース: 中国材料を多用する製品で、日ASEAN EPAを選択。RCEPなら累積できたのに。

対策:

  • 複数EPAの比較検討
  • 材料調達国とEPA締約国のマッチング
  • 関税率と累積規定の両面から最適EPA選択

戦略的EPA活用のまとめ

救済規定の2つの柱

規定役割活用場面
デ・ミニミス少量の非原産材料を無視「あと少し」でPSRクリアできる
累積複数国の材料・加工を合算広域サプライチェーンの活用

戦略的活用の4ステップ

ステップ1:PSR判定を実施 まずは基本的なPSR判定(CTC/VA/SP)を行う

ステップ2:「惜しい」ケースでデミニミス検討 10%以内の非原産材料があれば、無視できないか検討

ステップ3:複数国調達なら累積検討 締約国からの材料を「域内原産」として扱えないか検討

ステップ4:EPA選択の最適化 複数EPAから、最も有利なものを選択

最大効果を得るために

  1. サプライチェーン全体でEPA意識
    • 材料調達先の選定時にEPAを考慮
    • サプライヤーとの連携強化
  2. 柔軟な判定アプローチ
    • 1つの基準でダメでも、他の基準・救済規定を検討
    • 諦めずに「使える手」を探す
  3. 継続的な見直し
    • 新しいEPA発効時に再検討
    • サプライチェーン変更時に再判定
  4. 専門家の活用
    • 複雑なケースは専門家に相談
    • 社内EPA推進チームの育成

実践チェックリスト

EPA活用で「あと一歩」の状況に直面したら:

  •  デミニミス規定を確認した
  •  CTC不成立の材料が10%以内か計算した
  •  累積規定が適用可能なEPAか確認した
  •  他の締約国からの材料を特定した
  •  サプライヤーに原産品申告書を依頼した
  •  複数EPAの関税率・規定を比較した
  •  材料調達先の変更可能性を検討した
  •  専門家への相談を検討した

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サポート内容:

  • デミニミス適用可否の判定
  • 累積規定を活用したサプライチェーン最適化
  • 複数EPA間の比較・最適選択
  • サプライヤー連携体制の構築支援
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資格:

  • 中小企業診断士
  • 通関士
  • EPA実務経験10年以上

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