CTC(関税分類変更基準)の徹底理解

1. CTCの正体:なぜ「数字が変わる」と「原産地」と言えるのか?

CTC(Change in Tariff Classification)は、一言で言うと「海外から持ってきた材料に、魔法(加工)をかけて別の価値があるものに変えたか?」を数字で証明する基準です。

貿易のルールでは、加工が深くなり、実質的な価値が加わると、HSコード(品目番号)が大きく変化するように作られています。

  • HSコードが変わる = 別の品物に生まれ変わるほどの加工がなされた
  • HSコードが変わらない = 単なる詰め替えや簡単な組み立て(付加価値が低い)

この「数字の変化」を証拠として、「この製品は自国で作ったもの(原産品)です」と主張するのがCTC基準です。

2. CTCの3レベル:数字のどこが変わればいい?

加工の「深さ」によって、求められる変化のレベルが異なります。

種類(略称)変化すべき桁数加工のハードル実務のイメージ
類変更 (CC)上2桁から変化★★★(極めて高い)材料と製品が全く別のジャンルになる(例:鉄鉱石→鉄鋼製品)
項変更 (CTH)上4桁から変化★★☆(標準)同じジャンル内で別の品目になる(例:ネジ→機械本体)
号変更 (CTSH)上6桁から変化★☆☆(比較的低い)細かな仕様や機能が変わる(例:未精製の油→精製された油)

3. 【重要】加工しているのに「判定落ち」する罠

「一生懸命加工したから大丈夫」という思い込みが最も危険です。CTCはあくまで「数字が変わったかどうか」が全てです。

4桁変更(CTH)の落とし穴:

電子機器などの精密な組み立てを行っても、「主要部品と完成品の4桁コードが同じ」場合、CTC上は「加工なし」とみなされます。

  • NG例:
    • 海外製のダイオード(8541.10)を輸入し、日本で高度な「発光ダイオード(8541.40)」を製造。
    • 加工度は高いが、上4桁(8541)が変わっていないため、CTH基準では「非原産(日本製ではない)」と判定されます。
  • 解決策: この場合は、CTCを諦め、金額ベースで計算する「VA(付加価値基準)」への切り替えを検討します。

4. 「非原産材料」の特定が判定のスタートライン

CTCでチェックが必要なのは、材料の全てではありません。「外国から来た材料」と「どこ製か分からない材料」だけです。

  1. 輸入材料: 海外から直接買ったもの。
  2. 原産性不明材料: 国内で買ったが、仕入先から「日本製である証明(サプライヤー証明)」をもらっていないもの。

※日本製の証明がある材料は、HSコードが変化していなくても無視してOKです。


5. CTC判定の実務フロー(BOM活用)

実務では、BOM(部品表)を使って「非原産」にマーカーを引くことから始めます。

  1. 製品のHSコードを確定(全ての基準値になります)
  2. BOMを整理し、非原産材料をピックアップ
  3. 非原産材料のHSコードを確認
  4. 製品のHSコードと比較
    • 例:製品が 8413(ポンプ)で、要件がCTHなら、非原産材料に 8413 が一つでも混ざっていればアウト。

6. 最後の切り札:デミニミス(僅少の非原産材料)規定

「一つだけHSコードが変わらない部品がある…」という時の救済措置です。

その「ルール違反」の材料が、製品全体の価額(または重量)の10%以下であれば、特別に目をつぶって「原産品」と認めてもらえます。

例: 1,000円の製品に、100円以下の「コードが変わらない輸入ネジ」が混ざっていても、他の材料がクリアしていればOK。

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デミニミス規定の徹底理解