需要予測を手法比較でやってみる

複数の予測手法を比較して需要を読むイメージ

月次補充計画の出発点は「翌月の販売見込み」でした。では、その見込みはどう立てればよいのか。入門編では「予測は外れる前提で備える」という心構えを学びました。この実践編では、実際に過去データから翌月を予測し、しかも自分の商品にどの手法が合うかを見極める方法を扱います。

予測手法は1つではありません。大切なのは「高度な手法を使うこと」ではなく「自社のデータに合った手法を選ぶこと」です。


代表的な予測手法

中小企業の月次データで現実的に使える手法は、おおむね次の通りです。商品の性質によって向き不向きがあります。

手法得意な商品考え方
移動平均安定して売れる定番直近数か月の平均を翌月とする
指数平滑(SES)横ばいだが多少ブレる直近を重視した平均
Holt右肩上がり/下がりの商品水準+トレンドを追う
Holt-Winters季節の波がある商品水準+トレンド+季節を追う
季節ナイーブ季節性が強い商品前年同月をそのまま使う

難しい名前が並びますが、仕組みを暗記する必要はありません。重要なのは「これらを実際の自社データに当てはめて、どれが一番うまく言い当てられたかを比べる」という発想です。

「当たる手法」は当てはまりで選ぶ

手法の良し悪しは、理屈ではなくデータで決めます。やり方はこうです。過去の各月を「その手法ならどう予測したか」で計算し、実際の数字とどれだけズレたかを測る。このズレの平均が小さい手法ほど、あなたの商品をうまく捉えているといえます。

ズレの指標としてよく使うのがMAPE(平均絶対誤差率)です。「平均して何%外したか」を表すので直感的です。MAPEが10%なら、過去の予測は平均1割の誤差で当たっていた、という意味になります。

💡 手法選びの考え方
複数手法を並べてMAPEを比べ、最も小さい手法を採用する。定番商品なら移動平均が、季節商品ならHolt-Wintersが勝つことが多い、といった傾向も見えてきます。

予測の当てはまりをデータで比較する

複雑な手法ほど良い、わけではない

ここで重要な注意があります。「ランダムフォレストやAIのような高度な手法を使えば、もっと当たるのでは?」と考えたくなりますが、中小企業の月次データでは、たいてい逆効果です。

機械学習は数百〜数千件のデータがあって力を発揮します。月次の販売実績は、2年あってもわずか24点。この規模で複雑な手法を使うと、過去にはやたら当てはまるのに、未来は外す(過学習)状態に陥りがちです。しかも、なぜその予測になったのか説明できません。

⚠️ 「当てはまりの良さ」と「当たること」は別物
パラメータの多い手法は、過去データへの当てはまり(MAPE)が良く見えがちです。しかしそれは「過去を覚えただけ」かもしれません。手法選びで僅差なら、結果を説明できる単純な手法を選ぶほうが、現場で使い続けられて結局は得です。

予測は「立てて終わり」ではない

どの手法を選んでも、予測は外れます。だからこそ、立てた予測は実績と照らして毎月見直すことが前提です。「予測より売れている/いない」を早くつかめば、追加発注や在庫処分の判断を前倒しできます。

そして、新商品の投入・大口の引き合い・市場の急変といった過去データに表れない要因は、どんな手法でも読めません。これは数字ではなく、営業や現場の情報——つまりS&OPの場で人が補正する領域です。ツールの予測値は「たたき台」であり、最終判断ではない、という位置づけを忘れないことが大切です。

ツールで手法を比較する

複数手法の計算とMAPE比較を手作業でやるのは大変です。月次実績を貼り付ければ、各手法を自動で走らせ、当てはまりで比較し、最も当たっていた手法で翌月を予測するツールを用意しています。

📊 無料ツール
需要予測ツール(手法比較版):移動平均・指数平滑・Holt・Holt-Winters・季節ナイーブを自動比較。出した翌月見込みは 月次補充計画ツール にそのまま入力できます。


この記事のまとめ

  • 予測手法は複数ある。重要なのは高度さより自社データに合うものを選ぶこと。
  • 手法は当てはまり(MAPE=平均何%外したか)で比較して選ぶ。
  • 機械学習は月次・少データでは過学習しやすく逆効果
  • 当てはまりが僅差なら、説明できる単純な手法を選ぶ。
  • 予測は毎月見直す。データに表れない要因はS&OPで人が補正する。

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