Proforma Invoice(PI)の作り方

電卓と書類で見積を作成する

取引条件が固まったら、それを1枚の書類にまとめます。それがProforma Invoice(プロフォーマ・インボイス/PI)です。聞き慣れないかもしれませんが、輸出取引では商談を「正式な取引」に進める出発点となる、極めて重要な書類です。


Proforma Invoiceとは ── 「見積書 兼 注文確認書」

PIは、輸出者が買い手に対して発行する「正式な見積書」です。日本の国内取引でいう見積書に近いですが、輸出では次のような重要な役割を兼ねます。

  • 見積書:商品・数量・価格・取引条件を提示する
  • 注文確認書:買い手がPIにサインすれば、注文の合意を示す
  • 送金・L/C開設の根拠:買い手はPIをもとに送金やL/C(信用状)の手配をする

💡 輸入側の「LOI」に対応する書類
輸入マニュアルでは、取引の初期合意として「LOI(基本合意書)」を扱いました。輸出側でその役割を担うのが、このPIです。「これで取引を進めましょう」という、双方の意思を固める起点になります。


PIに記載する「必須項目」

書類を作成する手元

PIには、後の契約・決済・通関の基礎になる情報を、漏れなく正確に記載します。最低限、次の項目を入れましょう。

  1. 輸出者・輸入者の情報(社名・住所・連絡先)
  2. PI番号・発行日
  3. 商品の明細(品名・仕様・数量・単価・合計金額)
  4. 通貨(USD・EUR・JPYなど)
  5. 取引条件(インコタームズ)(例:FOB Yokohama)
  6. 支払条件(T/T前払い、L/Cなど)
  7. 納期・船積み時期
  8. 有効期限(見積の有効期間)
  9. 原産国

⚠️ 「取引条件」と「支払条件」は特に慎重に
インコタームズ(例:FOB Yokohama)の書き方が曖昧だと、費用負担で後からもめます。また支払条件は、代金回収の安全性に直結します。この2つは、PIの中でも最も注意して記載すべき項目です。


PIと「Commercial Invoice」の違い

よく混同されるのが、PIとCommercial Invoice(コマーシャル・インボイス/CI)の違いです。役割もタイミングも異なります。

項目Proforma Invoice(PI)Commercial Invoice(CI)
タイミング取引前(見積段階)出荷時(確定後)
役割見積・注文確認正式な請求書・通関書類
使われ方送金・L/C開設の根拠輸出入通関、代金請求

流れとしては、「PIで合意 → 製造・出荷 → CIで正式請求」という順になります。PIで取り決めた内容が、最終的にCIに引き継がれていくイメージです。Commercial Invoiceを含む船積み書類一式の作り方は、フェーズ3(3-4)で詳しく解説します。


PI作成を「効率化」するツール

PIは取引のたびに作成する書類です。テンプレートを用意しておき、項目を埋めていく形にすると効率的です。作成したPDFへの最終チェックや、サインの取り扱いには、ブラウザツールが便利です。

📄 書類の仕上げに使えるツール
DocWork(PDF編集)で、PIのPDFへの注釈や修正をブラウザ上で完結できます。署名・押印が必要な場面では 電子押印・署名ツール も活用できます。


まとめ:PIは「取引のスタートライン」

Proforma Invoiceは、商談を正式な取引へと進める出発点です。ここに記載した取引条件・支払条件・価格が、その後の契約・決済・通関のすべての基礎になります。正確で、抜けのないPIを作ることが、トラブルのない輸出の第一歩です。

  • PIは「見積書 兼 注文確認書」、取引の起点
  • 取引条件(インコタームズ)と支払条件は特に慎重に
  • PI(取引前)とCommercial Invoice(出荷時)は別物

PIで基本合意ができたら、より詳細な条件を正式な契約書に落とし込みます。次は、輸出者を守る英文売買契約書の作り方です。

👉 次の記事:2-3 英文売買契約書(輸出者版)(準備中)

💡 全体像は 輸出ビジネス・完全マニュアル(目次) で確認できます。輸入側の初期合意書「LOI」と比べたい方は、輸入マニュアルの 取引条件の交渉とLOIの締結 もどうぞ。